腰掛けるコンクリートブロックに投げ出した手に、そっと指が重ねられる。

顔を真っ赤に染めて、ものすごく照れくさそうにして、それでも有斗はわたしを真っ直ぐに見ていた。

視線を絡めたまま、「ありがと」と呟くと、有斗が少し迷った素振りを見せてから、再び顔を寄せてきた。


「さっきも、めちゃくちゃむかついてた。あいつと2人で焼きそば買いに行くとか」

「有斗はたこ焼き食べたかったんでしょ? それに、谷瀬くんは可愛い後輩だし」

「俺にはそうは見えてねーよ」


するりと有斗の指がわたしに絡められる。

あぁ、どうしよう。ようやく気持ちが追いついたばっかりで、応える勇気はないけれど、振り払う理由はもっとない。

わたしの顔も、きっと真っ赤だ。

誤魔化すように、返す言葉を必死に頭の中で探し出す。


「そんなこと言いながら、合流した時、菊池とメグちゃんと楽しそうにしてたじゃん」

「……おまえが言ったんだろ、みんなと仲良くしろって」

「確かに言ったけど。有斗、ちゃんと楽しそうに見えたよ?」


あの時の有斗は、ツジや結子と話している時と似たような顔をしていた。