「ううん、りんご飴だけ〜。すぐに買えちゃったからまゆみんのところに行こうと思ったんだけど、見つけられなくてさ。

菊池くんと神崎くんがいたから、一緒に並びながら待ってたの〜」


くるくるとりんご飴を回しながら、メグちゃんが真由美ちゃんに笑いかける。

真由美ちゃんは納得したように頷いてから、心配した〜と唇を尖らせた。

わたしも、メグちゃんが人波に飲まれていなかったことにほっとする。


屋台の周りは特別人が多いので、移動することになった。

ちょうど、広場の端のほうに6人が腰掛けられるコンクリートのブロックを見つけ、並んで座る。


それぞれ買ったものを食べ終えた頃。

お喋りに花を咲かせていると、ドォン!と心臓に響く音が弾けた。


顔を上げると、群青色の空に輝く無数の光。


「わー!」

「きれい!」


あちこちで歓声が上がる。

一筋の光と共に夜空を駆け昇り、大輪の花を咲かせては散っていく。

怖いくらいに綺麗なその光景を、わたしは胸が詰まる思いで見上げた。

ほんとうに、心から綺麗だと思った。


どれくらい空を仰いでいただろう。

絶え間なく打ち上げられる花火にただ心を奪われていると、ふと感じた視線。