谷瀬くんと会話をしている横で、菊池が有斗に話しかけていた。

何か買うか?とわざわざ有斗に聞いてくれる菊池は、やっぱり大人だ。仏様だ。

有斗は居心地が悪そうにしながらも、たこ焼きと答えた。菊池が気を配ってくれたからこその進歩だと思う。

菊池って人を選んで対応しないから、有斗にとっても貴重な存在だと思うんだよなぁ……。


「美月先輩?」

「んーと、わたしも焼きそばにしよっかな。お腹空いちゃった」

「じゃ、一緒に行きましょうか。サイズ、大もありますよ」

「そんなに食べられないから!」


行きましょ、と谷瀬くんに連れられて、わたし達は焼きそばの列に並びに行く。

花火前の腹ごしらえにと選ぶ人が多いのか、結構な人の流れが出来ていた。


「人多いですけど、仕方ないですね。どこの出店も似たような混み具合だし」

「そうだね。まだ時間に余裕はあるし、気長に待とうよ」


あっちの焼きとうもろこしの列には真由美ちゃん。向こうのりんご飴の列には、メグちゃん。

たこ焼きの列に並ぶ菊池と有斗は……結構待ちそうだなぁ。