にこにこと笑うメグちゃんに、有斗も少し戸惑いながら「よろしく」と会釈している。


「まさかほんとに、あの神崎先輩が来るなんて」


邪気のない声が聞こえて、顔を向けると、爽やかな青い浴衣に袖を通した谷瀬くんが有斗を見ていた。

髪のセットがいつもと少し違って、3割増くらいに大人っぽく見える。


「1年の谷瀬です。美月先輩にはいつも良くしてもらってます!」


にっこりと笑って、谷瀬くんが有斗に笑いかける。

太陽。わんこ。こっちもすごいよ、谷瀬くん。

物怖じしないどころか、有斗のほうが気圧されている。

釘を刺したからか何とか表情を保ってはいるけれど、明らかに顔が引き攣っていた。


「はは。すげーな、琉輝」


わたしにこっそり耳打ちしてきたのは菊池で、わたしは頷きつつ、この場に有斗が来ることになったことを詫びた。

いつも大人気ない対応をされていた菊池にとって、有斗の参加は気持ちのいいものではないと思ったから。

すると菊池は肩を竦めて、


「十中八九、俺らがいるから来るって言ったんだろ? 相変わらず、すげーナイトっぷりだなぁって感心したよ」


と、大人の対応だった。