相変わらず、有斗の傍若無人っぷりは手に負えない。

発案者のメグちゃんに確認すると、【問題ないよ!】と大変寛容な返信が来てしまって、わたしは深く息を吐いた。




「余裕で間に合ったな。よかった」


花火大会当日の夕方。

帯を器用に結び直しながらふぅっと息をつく有斗を、わたしはじっとりと眺める。


「急いで帰ってきて、仕事は平気なの?」

「あぁ、ヨユー。近藤さんにもOKもらってたし」


肩を竦めて、有斗が帯を結び終わる。

有斗パパが若い頃に着ていたという浴衣は、シックでとても趣があった。

数年前にも着てた浴衣があの時よりも随分と違って見えるのは、重ねた月日分だけ有斗が大人になったからだと思う。


「お昼過ぎても連絡ないから、てっきり帰ってこないかと思ってた」

「絶対空けるって言ったじゃん。やれば出来る子なんで、俺」


飄々とした様子で有斗が言うので、わたしは思わず顔を顰めた。

余裕と言いながらも、当初聞いていた時間より遅く帰ってきた。

昨日も遅くまで出掛けていたし、ここまで有斗が仕事に掛かりきりになるのは初めてのことだった。