「月末の花火、行くのか?」

「……あ」


何気なく言われて、思い出した。

体育祭の実行委員仲間達と一緒に行く約束をしている。

有斗には言ってなかったなー……。


「あ、って何。約束してんの?」

「まぁ、うん」

「誰? 藤堂?」

「ううん。真由美ちゃん達、体育祭の実行委員のメンバーで」


わたしの返答に、有斗の眉がぴくりと動いた。

クーラーのきいた部屋の温度がすっと下がったような感覚が背中を走る。


「田中と、あと他に誰がいんの」

「え……」

「実行委員って……まさか、あいつらいないよな?」


ゆらりと揺れる瞳に、真正面から睨まれる。

あいつら、と有斗が敵意を剥き出しにする人物に心当たりはある。

そして、その人物達は、今回の花火に一緒に行くことになっている。


なんと答えたものか、と頭を悩ませた瞬間、視界がぐるりと反転した。

何が、起きた……?


「……おまえさぁ」


深いため息を忌々しそうに吐き出した有斗が、わたしの肩に首を埋める。

ソファーの肘掛けを背に、えっと、押し倒されてる……?