「たまたまデカい事務所にスカウトしてもらって、仕事とは全く関係ない理由でそれを受けた。
受けろって言われたオーディションにもたまたま受かって、今の雑誌の専属にもしてもらって」
息と共に吐き出される言葉達を、一つたりとも聞き逃さないように耳を傾ける。
有斗がこんなふうに本音をこぼせるのは、ごく僅かな人の前だけだと知っているから。
「それでもやっぱり、俺の根底にはスカウトを受けた時の個人的な理由があったから、嫌になったら辞められるくらいの気持ちでいたんだけどさ。
……気付いたら、そんなこと言ってられないとこにいたんだよな」
そっと伏せられたまつ毛はとても長く、二重幅はわたしが知る誰よりも綺麗だ。
アーモンド型の目はわたしの何倍も光を取り込むように見えるし、実際、有斗はどこにいたって輝いて見えるのだ。
家族のように育ってきた幼なじみの目にすらそう見えるのだから、周りにとっては殊更だと思う。──本人が望もうと望むまいと、有斗は煌びやかな世界が似合う人だ。
有斗が軽い気持ちで用意した器には、とっくに溢れんばかりの水が注ぎ込まれていたんだろう。
受けろって言われたオーディションにもたまたま受かって、今の雑誌の専属にもしてもらって」
息と共に吐き出される言葉達を、一つたりとも聞き逃さないように耳を傾ける。
有斗がこんなふうに本音をこぼせるのは、ごく僅かな人の前だけだと知っているから。
「それでもやっぱり、俺の根底にはスカウトを受けた時の個人的な理由があったから、嫌になったら辞められるくらいの気持ちでいたんだけどさ。
……気付いたら、そんなこと言ってられないとこにいたんだよな」
そっと伏せられたまつ毛はとても長く、二重幅はわたしが知る誰よりも綺麗だ。
アーモンド型の目はわたしの何倍も光を取り込むように見えるし、実際、有斗はどこにいたって輝いて見えるのだ。
家族のように育ってきた幼なじみの目にすらそう見えるのだから、周りにとっては殊更だと思う。──本人が望もうと望むまいと、有斗は煌びやかな世界が似合う人だ。
有斗が軽い気持ちで用意した器には、とっくに溢れんばかりの水が注ぎ込まれていたんだろう。



