「ちなみに祈くんのオーラは? やっぱり真っ白?」
「み、水色です」
「祈くんらしい優しい色だね!」
「じ、地味ですが」
「でも、常にオーラが見えるのって大変だね」
「はい。気付いたらオーラを見て関わる人を選ぶようになってるかもしれません。暗めの色の方は何となく怖くて」
「だってよ、和泉」
「悪かったな。どす黒オーラで」
「でも、今は黒が薄れて灰色になってます」
「つまりさらに薄れれば白って事か」

オーラの色って変化するのかぁ。

「ですので和泉さんは極悪人ではないと思いました」
「極悪人だと思われてたのかよ」
「はっきり物を言う今の和泉さんのが僕は好きです。僕とは真逆ですから」
「確かにな。お前は自分の気持ち隠しすぎだな。見てて腹立つ」
「で、ですよね」
「でも、お前がカラオケ頑張って参加した努力は認めてやる。初めてなのに顔真っ赤にして一生懸命大きな声で歌って」
「さ、誘われたのが嬉しかったんです。今迄はそういったイベントは僕だけ誘われない事が多かったので」

そっか、祈くんって今迄本当辛い思いしてきたんだな。

「クラス全員に声かけたからな。お前はその一人なだけだ」
「でも、僕を不気味がらずにいてくれたのは本当ですから。和泉くんは悪い人ではない気がしてきました。ありがとうございます。カラオケに誘ってくださり」
「そ、そのキラキラした笑顔やめろっ」

腹黒男子とどピュア男子、真逆な二人だなぁ。

「祈くん、本当に楽しかったんだね」
「はい。人生で一番です」
「そんなに⁉︎」
「きっと百歳になっても忘れないかと」
「大袈裟な奴」
「だ、だめだよ! 祈くん!」
「はい?」
「楽しい記憶はたくさん塗り替えていくものなの! あれが最後みたいに言わないでっ」
「夢咲さん……」
「また楽しい事、いっぱいしよう!」

私は祈くんの手を取る。

「やはり、夢咲さんは素敵な人ですね」
「と、遠回しにバカって言ってる?」
「いえ。本当にそう思って言ってます」

まあ、祈くんだもんね。

和泉みたいに遠回しにバカとは言わないか。

「ごめん、疑って」
「ゆ、夢咲さんは他の女の子とは違う気がします」
「ああ、変人だからな。夢咲は」
「ちょっと! 和泉っ」
「そ、そういう意味ではっ」
「あ、そういう事か。ホッシーが夢咲をね……」
「い、和泉さん⁉︎」
「何の話ー?」
「別に何でもねぇよ」

でも、本当に今日は良い一日だったな。

祈くんみたいな学校嫌いな子にとって人生最高な日を作れたから。

もっと学校を好きにさせちゃお!