キッチンで、宗介は恋のためにカフェオレを作った。
混ぜるとカチャカチャと涼しい音を立てたカフェオレはいい匂いがする。
「宗介、あのね」
手渡されたカフェオレを飲まずに、ソファーの前に座って、恋が口を開いた。
「何?どうかした?」
宗介もソファに座った。
「あのね……」
恋の言葉に、宗介は目を見開いた。
「はあ?恋人ができた!?」
宗介は思わずソファの上で身を引いた。
「何で?。どういう事だよ?。訳分かんない。」
宗介はびっくりした顔で恋をじろじろ見る。
「誰?」
宗介が尋ねた。
「……」
恋が名前を言うと宗介は怒り笑いで言った。
「はあ?何それ。なんでいきなり?」
恋は困った顔をして、無邪気な目で、黙って宗介を見つめ返す。
「……ふーん。で?お前はなんて言ったの?」
意外にも思い詰めた声で宗介が聞いたので、恋は答に自信をなくした。
「いや、そう言ったんだけど」
「で?」
「キスされちゃった」
「!」
宗介は難しい顔で天井を見た。