「パ、パジャマパーティーだと?」
「ええ、今夜はハナコ様のお屋敷にご招待されておりますの。もちろん夜のベッドは同衾(どうきん)、夜更けまで濃密な時間を過ごす予定ですわ」
「どどど同衾!? ネグリジェ姿のハナコとひとつ夜具の中……!」
「きゃーっ、シュン王子!」

 鼻を押さえた山田から、ボタボタと鮮血がしたたっている。ドン引いて、未希と一緒に軽く二メートルはあとずさった。

「はぁはぁ、す、すまない。つい過激な想像を……」

 どんな想像したらそんななる!?

 てか、わたしは子どものころから毛糸の腹巻必須、コットン100%のハイウエストパジャマひと筋じゃ。それに全国パジャマパーティー協会のみなさんに土下座で謝れ!

「と、とにかくわたくしたちは帰宅いたします。行きましょう、ジュリエッタ」
「ではご機嫌うるわしゅう、シュン王子」

 血ぬれた床の上にたたずむ山田をひとり残し、そそくさと図書館を出た。

 そんなこんなで卒業式の婚約指名まであと一年。わたしの苦難の道は始まったばかり。

 てか、どうしてこうなった!?