そこから死に物狂いでダイエットして、翌週山田が来るときには以前以上にスリム体型にもどったわたしだった。
 短期間で一気に痩せたせいか、前よりもバストアップを果たしていたのは怪我の功名だ。

 でもこんなことやってたら、ホンキで病気になっちゃうからね。
 良い子のみんなはマネしちゃダメだぞ。

「は、ハナコ、その姿は……」
「おほほほほぉ、シュン様、今日も来てくださってうれしいですわぁ」

 どや顔で出迎えた。
 ほらよぉく見ろ、お前の好きなワガママボディは藻屑(もくず)の泡と消え去ったぞ。

 これ以上なくくびれた腰を見せつけると、言葉を失った山田がさっと手を取ってきた。

 てか、近すぎる。
 そして一体どこ見てるんだ?

 いつもならじっと顔をガン見してくる山田が、今日に限っては下を向いたままでいる。
 そうかそうか、そんなに痩せたのがショックだったか。

 密かにほくそ笑んでいると、俯いた山田が何事かぼそりとつぶやいた。

「……に……らん」
「え? シュン様、今何かおっしゃいまして?」

 そのとき山田はぐっと顔を近づけた。
 そう、わたしの胸元に。

「実にけしからんっ」
「きゃーっ、シュン王子ぃ……!」

 どばっと鼻血が噴き出して、わたしの服にまで飛び散った。

「あー、王子、デブ専っていうよりも、むしろおっぱい星人だったかぁ」

 そんな未希のつぶやきは、わたしの絶叫に掻き消されたのだった。