断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

 そうなって来るとギロチン行きも回避できなくなっちゃうのかな。
 ダメだ、熱に浮かされていると、心も弱って来ちゃう。
 あれ以来、未希も見舞いに来てくんないし。

 そのときおでこに冷たいタオルが乗せられた。
 冷やっとして気持ちいい。

 (ぬく)まったタイミングで、タオルが引き上げられた。
 氷の入った水がかき回される音がする。そんでタオルを絞る音。
 あ、また冷たいタオルが戻ってきた。

 懐かしいな。子供のころ、母親にこうして寝ずの看病してもらってたっけ。
 今は両親も貴族やってるから、同じ顔してても看病とかはしてくれないんだけどね。

「寝汗をかいているな……」

 うん、ちょっとべとべとして気持ち悪いや。
 定期的に浄化魔法を掛けてもらってるけど、そろそろ湯船につかりたい。

「よし、ここはひとつわたしが()いてやろう」

 髪が張りついた汗ばんだ首筋を、そっと(ぬぐ)われるのを感じた。
 ん? 今の声、どっかで聞いたことあるようなないような……?

「やまだっ」

 がばっと起き上がって、襟元にあった手首をつかんだ。
 お前、何さらしとんじゃ。ここはうら若き乙女の寝室やぞ。

「おお、ハナコ、目が覚めたか」

 おお、じゃないわい。
 (つくろ)う余裕もなくて、思わず山田を睨みつけた。