う、未希には全部お見通しだな。
 伊達(だて)に前世から幼馴染はしてないって感じ。

「どのみち旅行キャンセルできないんでしょ? それともお得意の仮病でも使う?」
「そんなことできないよ。リュシアン様にも協力してもらってるから、公爵家の信用とかもかかわってくるし」
「だったら潔く行ってきな。どうせ行くなら楽しまなきゃ損っしょ」

 ばんって背中を叩かれて。
 ちょっと、一瞬息止まったじゃんかっ。

「お土産、期待してるから。あ、オリーブ油買ってきたらぶっ飛ばす」
「なんで? イタリーノ土産の定番なのに」
「体質に合わないのよ。すぐお腹に来るし」
「未希ってばそゆコト、顔と一緒で純・日本人だよね。今世の名前、ジュリエッタのくせに」
「ぬぁんですって?」

 ぎゃっ、余計な口すべらしたっ。
 旅行行く前にボコらないどいてっ。