結果報告をすると、予想通り未希に大爆笑された。
 王都で人気の並ばないと買えないスイーツを手土産にしていなかったら、未希と言えどしばき倒しているところだ。

「山田、また来週も来るって言っててさ。お願い、次こそは一緒に付き合って!」
「しょうがないわね。っていうか、あんた本気で具合悪くない?」

 見舞いの口実で訪れた未希が、おでこに手を当ててくる。
 あ、なんだかヒンヤリして気持ちいい。

「やっぱり。熱あるじゃない」
「え、そう? やけにふわふわすると思ったら。この前徹夜したせいかも」
「ところであんた、それでまっすぐ座ってるつもり?」

 部屋の景色が斜めになって見える。
 これって斜めになってるのはわたしの方ってことか。

「え? 未希、もう帰るの?」
「当り前よ。今締め切り前なの。風邪でもうつされちゃたまんないわ」

 親友の体より、薄い本の方が大事なのねっ。

 そう、未希は雑食系のおたくだ。
 前世でもマンガ、アニメ、乙女ゲームからBLの薄い本作成に至るまで、ありとあらゆるものを網羅していた。

(この世界でも布教しているとは……)

 どこにでも腐女子というものは存在するらしい。