能力で勝てなければ頭を使うしかないわけで。
 姑息と言われようと、やるからには何が何でも勝ちに行くつもり。

「姉ちゃんどう? このくらいでいけそう?」

 健太が手渡してきたのはパッと見小さめのピンポン玉。
 実はコレ、ぎゅっと丸めたティッシュだったりする。

 上達してきたとは言え、わたしが魔法で動かせるものはいまだにティッシュ一枚。だから健太の魔法でティッシュを極限まで圧縮してもらったんだ。
 こうすれば重さが変わらないまま空気抵抗を減らせるし、飛距離と速度をマシマシにできるってワケ。

 試しにひと粒魔法で飛ばしてみると、結構な速度で飛んでって。
 壁を跳ね返ったボールは、とてもティッシュとは思えない仕上がりって感じ。

「うん、上出来じゃない」
「姉ちゃん、魔法の扱いすげー上達したじゃんか」
「まぁね。でもまだまだこれからよ」

 もっと威力が増してくれないと、勝算が薄くなっちゃうし。

「でもさ、飛び道具なんか使って大丈夫なわけ?」
「そこはちゃんと確認したから」