え、そうなの?
 そんな話、健太からは聞いてないんだけど。

「とは言えハナコ嬢を止める理由としては、ちと足らぬのも事実じゃな」
「おじい様……!」
「まぁ聞け、シュン王子よ。お前の言いたいこともよく分かる。ゆえにここはひとつ、ふたりで勝負をしてはどうじゃろうか」
「勝負を?」
「ああ、シュンとハナコ嬢でガチンコ対決じゃ」

 わたしが負けたら留学は無しってこと?
 何でもこなせる山田相手だと、何気にわたしが不利じゃない?

「勝負内容はハナコ嬢が決めるといい。それで良いな、シュン」
「はい、わたしに異論はありません」

 ちょっとリュシアン様、それもう決定事項なの?
 いいわよ、この勝負受けて立ってやる。
 何が何でも勝利をもぎ取って、イタリーノでイケメンゲットするんだから……!

「分かりました。では勝負方法は魔法対決でお願いいたしますわ」
「魔法で……? 本当にそれで良いのかの?」
「ええ、もちろん。少々ハンデはつけさせていただきますけれど」

 余裕の笑顔を向けると、戸惑いながらもリュシアン様は了承してくれた。

 決戦は冬休み直前の金曜日。
 ラスボスとして相手に不足なし。

 目にもの見せてあげるから、山田、首を洗って待ってなさいよ!