断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

 形勢不利と見て、ここはいったん撤退すべし。
 引き際も肝心、てなわけで気分が悪そうにうつむいた。本気で眠いので、迫真に迫る演技もお手のものだ。

「申し訳ございません。実はわたくしまだ本調子ではないみたいで……」
「それはいかん! 今すぐ横になるといい」
「うひあっ」

 ななな何、ひとのこと抱えあげてんのよ。

 ていうか、どうして人ん()の廊下を迷いなく歩く。
 そしてなぜわたしの部屋の場所を知っているんだっ。

「公爵家の間取りを把握しておいた甲斐があった」

 ストーカーかっ!

 山田は当たり前のように部屋に踏み込んで、当然のように奥の寝室へとわたしを運んだ。

「さぁ、ハナコ、ゆっくりと休むがいい」

 魔法の力で上かけの羽毛布団がふわりと浮いて、そっとベッドに下ろされた。ご丁寧に隙間を埋めるように首元の布団を整えられる。

 そのまま山田は寝室に居座ろうとしてきた。

 王子とは言え、さすがにこれはマナー違反だ。
 未婚の令嬢の寝顔を見ようなど、公爵家をバカにする態度と取られかねない。

「シュン様、わたくしは大丈夫ですのでどうぞもうお帰りください」
「何、遠慮はいらない。このわたしが見守っているからな」