「やっぱりひとりじゃ上手くいかないわね……」

 目の前には散乱したティッシュのボール。
 魔法の自主練って言っても、初歩の参考書程度じゃどうにもならなくて。
 これで才能が開花するくらいなら、とっくに芽が出ていただろうし。ここは魔法学の先生に相談するのが得策かしら?

 ってなわけで、迎えた補習の日。
 わたくし効率よく魔法を使えるようになりたいんです。そう相談したら、前のめりで協力してもらえることに。

 補習は基礎をみっちりと、翌日の放課後からは出された課題をこなす毎日を送ってる。
 おかげで魔力切れを起こさないコツがちょっとずつ分かってきたって感じ。魔法学の先生、厳しいけど教え方が上手いんだ。今まで毛嫌いしててごめんなさい。

「ではハナコ君、昨日出した課題の成果を見せてもらおうか」
「はい、先生」

 机にはティッシュのボールがみっつ並んでる。
 そこに神経を集中して、一気に魔力を解き放った。

「すばらしい!」

 いち、に、さん、と、ボールは一直線にゴミ箱に飛び込んでいった。
 しかも手をかざすことなく、頭でイメージするだけでできちゃったよ!