断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

 冷たく言って無理やり手を引きはがす。手はあっさりほどけたけど、ちょっとムッとした顔を返された。
 なによ、やる気なの? いざとなったらマサトを召喚してやるんだから。

「礼も何も、俺は何ひとつ頼んだ覚えはない」
「あきれた言い分ですこと。良くして頂いたことに変わりはありませんでしょう?」
「ふん、本心から親切にしているわけでもあるまいに。あいつらはこの俺に何かあったら困るというだけのことだ」

 ずいぶんと穿(うが)った発言ね。らしくなく自暴自棄な感じだし。
 ああ、そっか。ロレンツォってば人質でヤーマダ国に来てたんだっけ。

「まぁ、意外。ロレンツォ様がそんな卑屈な方だったなんて」
「悪いか。国に見捨てられ生贄(いけにえ)にされたんだ。卑屈になって当然だろう」
「価値があるからこそ、ロレンツォ様はここにいらっしゃるのでしょう? ご自身にもっと誇りをお持ちになればよろしいのに」

 どうでもいい人間だったら、人質として役に立たないもんね。

「イタリーノ国とヤーマダ国、双方の国民の平和を(にな)っていると思えば、そんな大役ほかになかなか見つかりませんわ」

 あれ? ロレンツォ変顔してる。なんかサカンバンバスピスみたいじゃない?
 ま、いいや。今のうちに教室戻るとしますか。

「ではロレンツォ様、ごきげんよう」

 一応、声はかけたけど。
 わたしを見送るロレンツォは、ずっとサカバンバスピスのままだった。