断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

「ハナコは猫舌なのだな」

 ふぇっ、なに微笑ましそうに言ってんの?

 むせそうになり、慌ててカップをテーブルに戻した。

「大丈夫か、ハナコ」

 ちょびっと服にこぼれた紅茶を、山田が浄化の魔法で綺麗にしていく。
 やっぱ魔法って便利だな。使える山田がうらやましい。

(いやいや、使えないからこそ我に勝機あり!)

 本題を思い出し、遠くにあったティッシュの箱に手を向けた。

 この国は乙女ゲームの世界だけあって、日本にあったアイテムがたいがい揃っている。トイレもお風呂も現代仕様だし、ないのはネットとテレビくらいかな。

 で、ティッシュに意識を集中し、一枚だけ魔法の力で手元に引き寄せた。
 わたしの魔力でできることと言えば、たったこれくらい。
 しかもティッシュ以上に重いものは、ぴくりとも動かすことはできないポンコツぶりだ。
 マジックハンド的に使えるので、便利と言えば便利なんだけど。

「シュン様……わたくし思ったのですけれど……」

 ティッシュで口元を押さえながら、できるだけ弱々しく言葉を続ける。
 早くしないと、いつかあくびが出てしまいそうだ。