魔力切れを起こした翌日は、ちょうどいいことに週末で。
 これ以上授業を休むと出席日数が足りなくなりそうなんだ。留年なんかになったらやだし、休み明けまでに体力回復しておかないと。

 そんなわけで無理しないよう家でのんびり過ごしていたら、アポなしで山田が見舞いにやってきた。しかも転移魔法でいきなり玄関先に現れたし。
 王子を追い返すわけにもいかなくって、仕方ないから今こうして応接室で対面してる。

「ハナコ、思ったよりも元気そうで安心した」
「シュン様、先ぶれもなくいらっしゃられると、至らない面も出てきてしまいますので……」

 王子が訪問するってんで、いつもなら使用人総出で準備万端にして出迎えてるからね。
 今日みたく突然来られると、屋敷中がひっくり返ったように大騒ぎになっちゃうんだよ。

「いや、わたしのことなら気にしなくていい」
「シュン様がお気になさらなくとも、モッリ家としてはそういうわけには参りませんわ」
「過度のもてなしは不要だ。なに、すぐに帰る。今日はあまり時間がなくてな」

 だからそういうことじゃないんだってば。
 ああもう、王子相手だとストレートに物言えなくて、ほんとストレスたまるんですけど。
 顔には出さずにイラついてたら、山田が勢いよく頭を下げてきた。