かぶせ気味に言い合う山田とロレンツォ。
 ふたりして、なに子供みたいに張り合ってんの?

「魔法に頼りきりの古臭いこの国よりも、イタリーノには便利で革新的な物が山ほどあるぞ」
「魔力を持つことはヤーマダ国の民の誇りだ。ハナコもそう思うだろう?」
「そうですわね。わたくしの魔力は矮小(わいしょう)ですが……」
「イタリーノ国は物にあふれる豊かな国だ。ハナコも興味惹かれるだろう?」
「そうですわね。イタリーノは活気がある国と耳にしますし……」

 妙な間が一瞬空いて、再び応酬が始まった。

「ヤーマダ国は伝統ある国だからな。慎ましやかな国民性も頷けるというものだ。な、ハナコ」
「イタリーノ国は自由を重んじているがな。探求心ある国民性こそが国の発展につながっているのだ、ハナコ」
「魔法のない生活など想像もできないだろう、ハナコ」
「想像力の無さはそのまま向上心のなさにつながると思わないか、ハナコ」
「国の安定を築くことこそが王族の務めだ、ハナコ」
「国のさらなる繁栄を求めるのが王族だ、ハナコ」

 にらみ合う山田とロレンツォ、わたしなんかそっちのけだし。
 ついでのように名前呼ばれてるけど、口を挟めるような雰囲気じゃないんですけど。

「魔法こそ究極だ、ハナコ!」
「科学こそ至高だ、ハナコ!」

 こんな状態でどっちか選べとか、わたしに言わせればどっちもどっちだっつうの。
 ってか、この調子じゃいつまで経っても(らち)が明かないじゃんか。