「……っていうことがあってね」
「へぇ、王子がねぇ。ま、なんにせよ、試験合格オメデト」

 未希ちゃん、ココロのこもらないお言葉アリガトウ。
 ギロチンエンドの可能性が無くなってきて、最近あんま親身に話を聞いてくれないんですけど。

 いいわよ。今夜は久々のパジャマパーティーだから、思いっきり愚痴吐きまくったる。

 大きなベッドの上で、トレーに乗せたお菓子をつまむ。眠れなくなるといけないから、飲み物はハーブティーを用意して。

「にしてもさ、山田のヤツあきらめ悪すぎない? 男らしくないって言うか優柔不断っていうか。王子なんだから、キッパリすっぱり切り替えろって感じ」
「華子、あんた知らないの? シュン王子ってかなりの切れ者だし冷徹で有名よ?」
「は? よそ見して壁にぶつかるような男が?」

 呆れたように言うと、目の前にいきなり手をつないだ健太と長谷川が現れた。
 ふたり分の重みでベッドが揺れる。こぼれそうなカップはとっさに未希が魔法で浮かせてくれた。

「うわ、びっくりしたっ。あんたたち、来るなとは言わないからせめて扉から入ってきてよ」
「華子先輩、ゆいなまだ自宅謹慎中なんですよ? 出かけてるのバレたら怒られちゃうじゃないですかぁ」
「そうだよ、姉ちゃん。ゆいながまたつかまったりしたら可哀そうだろ?」