「では、次はハナコ・モッリ君。日々の成果を見せてもらおうか」
「はい、先生」

 で、今日は魔法学の試験の日。二学期にある中間テスト。
 自分の魔力の特性を生かして、オリジナルの技を披露するって課題。それを先生が採点してその場で合否が確定するんだ。
 順番に呼ばれて、みんなの前でやらなくちゃなんなくて。一発勝負だし、緊張も半端ない。

「ハナコ様、ご健闘をお祈りしております!」
「普段通りになされば大丈夫に決まっていますわ!」
「そうですわ、ハナコ様ならやり遂げられます!」

 う、あんまり(あお)らないどいて。
 余計に緊張しちゃうからっ。

 先生に眼光鋭く見つめられながら、用意しておいたティッシュを一枚取り出した。
 軽く丸めてから教壇の机の上に置く。
 ふぅーっと長い息を吐いて精神統一。それからティッシュに向けて手をかざした。

 異様に静まり返った教室で、みんなが固唾(かたず)を飲んで見守っている。

(焦らない、集中集中……)

 手のひらがじんわりしてきて、魔力がたまってきたのを感じ取った。

(よし、今よっ!)

 魔力を一気に解き放つと、丸めたティッシュがポンと斜めに跳ね上がる。
 机のはしっこを越えて、その先にあったゴミ箱へとティッシュはぽすんと飛び込んだ。

(っしゃあ……!!)

 見事なホールインワンに、思わず心の中でガッツポーズ。
 もちろん表向きはちゃんと令嬢然としてたけど。