「なんなのこれは?」
「俺の召喚札。シュン王子に何かされて困ったらさ、いつでもこれ使ってくれよな。呼んでくれればすぐ駆けつけるから」
「は……? なんでマサトがそんなこと」
「いいから、いいから」

 無理やりに手に握らされる。
 いや、待って。だからなんでこんなもの。

「じゃ、そういうことで!」

 って、どういうことよっ。
 止めるヒマもなく、マサトはこっちに手を振りながら走り去ってしまった。

「ふうん? 相変わらずフラグ立てまくってのね」
「好きでそうしてるわけじゃないんだってばっ」

 放課後、未希にそんなことがあったって話したんだけど。

「ま、王子が寄って来なくなった分、随分と風向き変わったんじゃない?」
「うん、このまま何事もなく卒業できるといいんだけど」
「その調子その調子。最後までどうにか乗り切って」

 一応は聞いてくれてるけど、前みたいに真剣に作戦会議する気はないみたい。
 うう、相変わらずティッシュよりも薄っぺらい友情だよっ。