「モッリ公爵令嬢様……! 危険ですので馬車の中でお待ちください。早急に片付けますので、ここはわたしにお任せを」
「そういうわけにはいかないわ。今すぐその子をお放しなさい」
「で、ですが」
「その子はユイナ・ハセガー男爵令嬢。フランク学園の生徒よ。大丈夫、彼女の身元はこのわたくし、ハナコ・モッリが保証します」

 力強く言い切ると、戸惑いながらも護衛はユイナから手を離した。

 ふぃー、間一髪。
 あとちょっとで大惨事になるトコだったよ。

 ってか、ユイナの手のひら、まだバチバチ言ってるしっ。おまっ、臨戦態勢まだ解いてなかったんかっ。

「あなたもよ。今すぐその力をお静めなさい」

 ぴしりと言うと、不満げにユイナは手中の魔力を消し去った。

「……なによ、エラそうに」

 聞こえよがしに言うなっつうの。
 でもユイナと同じ土俵には絶対に乗ってやるもんか。
 揚げ足取られたりして、断罪コースにひっくり返されたら(かな)わないしね。