夏休みの間は忙しいって冷たく言われちゃって。なんでも会員制の秘密の会合があるんだとか。
 参加者はみんな仮面着用必須で、仮面舞踏会ならぬ仮面マーケットって呼ばれているらしい。
 略してカメケ。ってか、要するに薄い本の即売会で、集まるのも貴腐人ばかりって話。

(思えばジュリエッタは招集かけても、いろいろと理由つけて来ないことが多かったっけ)

 未希のヤツ、相当昔からオタ活して地道に仲間を増やしてたんだな。この世界を満喫しててうらやましいとか思っちゃう。
 わたしも好きなこと探さなきゃなぁ。やっぱ前世でできなかった夢、叶えたいしね。

 せっかく公爵家の令嬢に生まれ変わったんだもん。好みのイケメンゲットして面白おかしく生きてくのが理想かな?
 学園を卒業したらまず何をしよう。十九歳になったら社交界デビューできるし、舞踏会でいろんな出会いが待ってるかも。

 できれば男らしい系よりも、中性的でさわやかな笑顔のイケメン希望。ぶっちゃけ昔から顔さえよければ性格とかは二の次なんだよね。
 好きな顔をずっと眺めてたい。そんな感じでさ。

 なんて妄想しながら屋敷でおとなしく過ごしてたら、体調も元通り回復してきて。
 さて、せっかくだからこれから夏を楽しむか。

 って矢先に、山田からお茶会の招待状が届いた。
 一気に現実に引き戻されちゃったよ。イケメンを見つける前に、まずはギロチンエンドを回避しなきゃだった。