「いたいた! 探したよ、ジュリエッタ嬢っ」

 ほかほか湯上りで未希と歩いていたら、血相を変えた健太が駆け寄ってきた。

「ケンタ? あなたその姿……」

 包帯グルグル巻きで痛々しいんですけど。
 もしかして健太も女湯のぞこうとしたんか。うわ、見損なったし。

「ちがっ、ちゃんとみんなを止めようとしたんだって。なのに俺までとばっちり食ってさ」

 あー、うん、水って電気通すもんね。
 それにしてもアレ、未希の仕業って分かってるんだ。

「回復魔法、まるで効かなくて困り果ててたんだ。それどころか傷が悪化する一方で……」
「ケンタ様、因果応報って言葉、ご存じですか?」

 にっこり返す未希の目、これっぽっちも笑ってないし。
 健太も引きつった顔してる。わたしら姉弟、未希の怖さは身に染みて分かってるもんね。

「そんなこと言わずにさ、未希姉ぇ、頼むよ」
「ちっ、仕方ないわね」

 やだ、ふたりとも素が出てるってば。
 そう突っ込む間もなく、未希が魔力を使って健太の傷を癒していく。

「助かったよ、ジュリエッタ嬢。それで……先輩たちもかなり状態ヤバくって」
「この貸しは大きいですわよ?」
「ふたりにはよくよく言っとくからっ」