あっという間にイベント当日。
 で、いま雪山のロッジに到着したところ。

(にしてもさっむ)

 ラウンジの暖炉の前に陣取って、凍える指先を温めた。

「ハナコ様、お寒いですか?」
「姉上は昔から寒いの苦手だもんね。はい、コレ渡しとく」

 健太が差し出してきたのは魔石カイロだ。魔力で一定時間あったかくなる便利アイテム。
 と言っても、わたしの弱い魔力じゃ温めることはできないんだけど。

「冷めたら言って。また魔力込めるから」
「ケンタ様、そのときはわたくしもお願いしてよろしいですか?」
「もちろんだよ、ジュリエッタ嬢」

 魔力には火とか水とか属性がいろいろあって、人によって得意分野があるんだ。未希は癒し系の光属性が強いけど、火を扱うのは苦手みたい。

「お? なんだハナコ、寒がりなのか? だったら俺のも使えよ」
「そう言うことならば俺の分も渡しておこう」
「あら、ありがとう。ふたりとも助かりますわ」

 マサトとダンジュウロウまで魔石を差し出してくる。ポケットサイズだから、遠慮なく受け取っとこっと。