ちぇっ、どうせならユイナと山田がさっさと子供でも作ってくれればいいのに。

「そのシナリオ通りに進めるとしたら、華子もそれ相応の動きしないとだね」
「それ相応って?」
「ヒロインが遭難する原因作るのは、華子、あんただから」
「え、わたしっ!?」
「そ。悪役令嬢の役目を果たさないことには、ユイナと王子の仲は進展しないってわけ」

 それじゃ断罪コース一直線なんじゃ……?

「大丈夫だよ、姉ちゃん。とりあえず犯人不明ってことで今回はウヤムヤに片付けられるハズだから」
「そか……そういうことならやるしかないね」
「事前に準備も必要だから、ちゃんとぜんぶ頭に入れてよね?」
「りょうかい」
「ま、俺も未希姉ぇもフォロー入れるからさ。そんな心配すんなって」

 よし、ここを乗り切って山田とユイナをくっつけちゃえば、あとは悠々自適ライフを送るだけだ。
 このゲームの世界にだって、わたし好みのイケメンがひとりくらいはいるだろうし。

 待っててね。
 いつか迎えに行くよ、まだ見ぬわたしの王子様!