「何を勘違いしているのか知らないけれど、あなたとシュン様はとてもお似合……」
「そろそろ時間だな。すまないハナコ。寂しいだろうがわたしはもう行かねばならない」

 遮るように山田が口をはさんできた。やんわりとユイナの手を(ほど)くと、元いた方へ戻っていく。
 ってか、寂しいってなんだ? 初めっからお前はお呼びでないんじゃ。

「まぁいいわ。もう王子ルートに入ったんだし……」

 ぼそっと言うと、残されたユイナがふてぶてしくわたしを見下ろしてきた。

「のぞき見してた件は水に流してあげます。その代わりハナコ様、雪山イベントには絶対に参加してくださいね?」

 雪山イベント? っていうか今夏前よ?

 鼻息荒く去るユイナを見送ってから、解説プリーズ的に未希の顔を見た。

「ハナコ様、ここではアレですから、またパジャマパーティーの時にでも……」

 これは詳しく分かってるって顔だな。おお、心強い。やっぱ未希がいてくれてホントよかった。

(にしても、ユイナのヤツ、わざとこっちを怒らせようとしてるんじゃ……)

 まるで宣戦布告?
 安い挑発に乗るのもシャクだけど、今回はあえて受けて立とうじゃないの。

 ってなわけで、本日のお茶会はお開きってことで。
 山田が飲まなきゃもっと続きがたのしめたんだけどねっ。