「ねぇ、カヤ」


「……」


「俺のこと、スキ?」


「……」


「好きって言ってよ、お願いだから」




脅迫じみた声で、男は顔を近づけてきた。



好きって言わなきゃ、殺される。


だけど、それじゃあ好きって言ったらどうなるの??



言えない。


言いたくない。


怖い怖い怖い怖い。



緊張に殴られた胸の奥が痛みだして、出血でもしているみたいだ。


上下に肩を動かし、乱れた息を整えようとしている必死な私を見て男は私からゆっくりと視線を逸らした。



「好きじゃないの……」


「……」


「じゃあダメだ、殺せない」


「……」


「俺の事好きじゃないなら殺せないネ。」



言いながら、彼はベッドからおりると二階の窓を開ける。


冬なのに、夜風が気持ちいい。



「カヤ、ごめんなさい。
 今度はちゃんと守るから、許してネ」


「……」


「さようなら」