「まあ、こんな感じかな。最近見る恐ろしい夢って言うのは」
学校帰り、見慣れた道は灰色に見え、ローファーの中に紛れ込んだ砂石を気にしながらも、友達に昨日見た怖い夢の話をする。
「それで今日も遅刻したんだ」
「夢のせいにしてるけど、あんたただ夜更かししてるだけでしょ。学校行きたくないから心理状態が夢にあらわれてんじゃないの」
「ちがうのー!!本当の本当に気持ち悪い人形の夢ばかり見るんだってば!!しかも……妙にリアルなんだよね」
「あはは、まあ夢だし別にいいじゃん」
他人事だから特に気にも留めない友達は、笑いながら別の話に移る。
夢の内容すらも作り話だと思われてるんじゃないかと、信じてもらえてないみたいで嫌になる。
「少しくらい心配してくれてもいいじゃんか」
頬を膨らませながら、ボソッと呟くと。
「……っ」
さっきから、ローファーの中で転がり続けた砂石が、ついに靴下越しに肌を攻撃し始める。
友達は、立ち止まり靴を脱ぐ私に気づかずに前を歩く。
ちょっと待ってよ、と声をかけようとすると
ふと、視界が一瞬にして暗くなる。
体が建物の隙間に移動したと気づいたのは、数秒後のこと。