はいはい、こちら中野通交番です。 ただいま就寝中。

 近頃さあ、俳優の不倫騒動が毎日のように騒がれてるけどいい加減にほっとかないか?
年がら年中、役作りで惚れたり振られたり叱ったり叱られたりしてる連中だ。 舞台と日常の区別が付かなくなるのも自然なことだよ。
 俺たちはさあ役作りなんて必要無いから常に日常の中に居るけど、俳優とか女優ってやつは仕事が入れば舞台の中で生きていくんだ。
不倫しようが同棲しようが別れようがもめようが俺たちには関係無い。 勝手に身を滅ぼして潰れようが成功しようがどうだっていいじゃないか。
 そりゃね、週刊誌には恰好の餌かもしれないよ でも無駄じゃん。 やつらはごまかして生きてるんだから。
自分をごまかして生きてるような連中がきちんと答えてくれると思うか? まず無理だよ。
仕事仲間でさえドン引きしてしまうくらいに完璧な役作りをするんだ。 まともに相手をしてたらこっちがおかしくなるよ。

 あれは? 議員ってさあ一定の年齢制限を設けてなかったっけ?
役に立たない議員はさっさと辞めさせてくれ。 きもいしうざいし面倒だ。
 小泉君が随意契約でうっぱらっちまったって文句を言ってる爺さんが居るよね? そんな爺は要らないから幹事長と一緒に処分してくれ。
麻生みたいなまだまだ物分かりのいい爺さんならもう少しいてもいいけど、しかも農林族は要らない。
あんたら農家に何をやった? 全農と一緒に特権を振り回して懐を肥やしてただけじゃないか。
 蚕なら絹を産んでくれるけど蛾は何も生まないよね? 生産性0の腐ったモヤシみたいな議員は即刻退場願いますわ。
そんなやつに俺たちは給料を払ってやってるんだぞ。 国民ももう少しまともに考えろや。

 さあさあ朝になりましたよ。 昨日もやっぱりお風呂でいいことをしたのよねえ 俺たち。
姉ちゃんもスッキリした顔でお目覚めのようですわ。 「今日は昼からお引越しするからね。」
「って言うけど飯はどうするんだよ? 風呂だってあそこには無いんだぞ。」 「近くには食堂が有るし少し歩けば銭湯も在るじゃない。 大丈夫よ。」
 姉ちゃんはただただ引っ越しが待ち遠しいようですねえ。 困った困った。
 午前中は仕事を休んで荷物を交番へ運び込みます。 二階にはお人形さんが居るんだけど、、、。
姉ちゃんはそれに構わずに荷物を運び込みまして上機嫌で部屋を見回しております。
 「このお人形 可愛いわねえ。 あんたが買ったの?」 「前から置いてあったよ。」
「うっそーーーーー。 無かったよね?」 「物置に入ってたの。」
 「そっか。 寂しかったねえ。」 人形の頬っぺたを撫でてやりますと、、、、。
いきなり指を噛んできたからさあ大変。 「この子、生きてるわーーーーーー!」
そう言って交番から姉ちゃんは逃げ出していきました。 チャンチャン。
 何をしてるんだろう 姉ちゃんは? 放り出された荷物を片付けながら窓から覗いてみる。
するとまあトンカツ屋の前で股旅が切れた猫みたいにフラフラしてる。 (まったくもう、しょうがないなあ。)
 そこまで迎えに行ったついでにトンカツを2,3枚買ってくる。 「昼にしようぜ。」
「何恰好付けてるの?」 「いいじゃん たまには。」
「似合わないからやめたほうがいいわよ。」 「姉ちゃんのほうがもっと似合わないけどなあ。」
「あたしは恰好付けたりしないから。」 「そうかなあ? じゃあ劇場にでも行ってみる?」
「やだやだ。 あそこだけはやだ。」 「だったらおとなしくしててよ。」
「無茶苦茶言うなあ。」 それでもなんとか姉ちゃんは静かになりまして、、、。
 と、そこへ川牟田さんが何かを持ってきました。 「こんにちはーーー。」
「あれ? どうしたの?」 「引越ししたって聞いたから引っ越し祝いを持ってきました。」
「こりゃどうも。 ってそんな大それたことじゃないんだけど、、、、。」 「いえいえ。 お姉さんには頑張ってもらいたいから。」
「景気付けってことね?」 「そうです。 じゃあ昼からお待ちしてますねえ。」
 「姉ちゃんはいいなあ。 川牟田さんみたいな同僚が居て。」 「あんただっていいじゃない。 私が居て。」
「それはどうかなあ?」 「どういう意味よ?」
「そういう意味よ。」 「そういう意味よってどういう意味よ?」
「そういう意味よってどういう意味よってそういう意味よ。」 「そういう意味よってどういう意味よってそういう意味よってどういう意味よ?」
「疲れた。 さっさとショップに行ってくれ。」 「うわーーーー、レディーを追い出す気だあ。」
「誰がレディーだよ?」 「あたしよ あたし。」
「あっそう。」 「冷たいなあ もうちっと反応してよ。」
「昼休み 昼休み。」 「ずるーい。 逃げやがった。」
 俺は騒いでいる姉ちゃんを残して二階へ上がったのでありますよ。 昼寝しようぜ!
 ぼんやりと天井を見上げながらふと思いついた。 50音日記をやってみようか。

あ。 新しい朝が来た。
い。 いつもと変わらぬ朝が来た。
う。 うるさいやつが居ない朝が来た。
え。 偉そうにしてる姉ちゃんと喧嘩した。
お。 お引越しに川牟田さんが饅頭を持ってきた。
か。 川牟田さんが帰ったから姉ちゃんをショップに行かせた。
き。 今日は静かな金曜日だ。
く。 車が通らないバス通りでカラスが昼寝をしている。
け。 喧嘩している野良犬が子供を産んだ。
こ。 子育てに悩んでいるパン屋の母ちゃんが万引きで捕まった。
さ。 さほど事件が起きないこの町で父さんが暴れると事件になる。
し。 静かに夜が来る日はいつになるだろう?

 ここまで考えてみた。 後は姉ちゃんに考えさせるかな。
でもなんか怖い気もするなあ。 作ってみるか。

す。 雀が居なくなったこの町は田舎なのか都会なのか分からない。
せ。 戦争が終わって80年。 あの年に生まれた子も80歳。
そ。 そして俺たちは平和になる。
た。 頼むから役に立たない政治家は追い出してくれ。
ち。 中国を見ろ。 なんか不気味なことをやってるぞ。
つ。 つまんねえことばかりやってないできちんと政治をしろよ。
て。 転売ヤーはいつになったら撲滅されるの?
と。 友達以上恋人未満なんてふざけてる。
な。 何となく30年生きてみた。
に。 人間長くても100年。 宇宙はもう140億年。 どっちがいいんだろう?
ぬ。 ヌラリヒョンが居たあの頃が懐かしい。
ね。 姉ちゃんはやっと真面目に働くようになった。
の。 暢気な俺は今日も独りぼっちの交番で遊んでいる。

 俺って遊んでたのか? なわけは無いよなあ?
「ジャンジャンバリバリドンドンドン! ジャンジャンバリバリドンドンドン!」 「またうっせえのが来たぞ。 今度は何なんだよ?」
 「やあ、お巡りさん 景気はどうだい?」 「お前に聞かれるほど良くも悪くもねえよ。」
「お巡りさん そこはねえ「ぼちぼちでんなあ。」って返すんだよ。」 「うるせえ。 ぼちでもばちでもいいから消え失せろ! コバンザメ!」
「ひどいなあ。 コバンザメは無いっしょ?」 「ったくもう、、、、。 コバンザメが嫌なら芸を磨いて出直してこい!」
 小判は電電太鼓を叩きながらどっかへ行っちまった。 「あんな変なのしか居ないのかね? この町は。」
と思っていたら、、、。 「キャーーーーーーーー!」って声が聞こえてきた。
 「誰だ?」 交番を出て目を凝らしていると走ってきたのは川牟田さんじゃあーりませんか。
「どうしたの?」 「用事が有って外へ出たらあの人に胸を触られたんです。」
「えーーーーーーー? そのlサイズ、、、じゃなかったиカップのお胸を触らせたの?」 「何ヨ 変態。」
 「まあいいから中に入ってよ。」 俺は息を切らしている川牟田さんと後から走ってきた小判を中に入れた。
「どういう状況だったの?」 川牟田さんに聞こうとしたら小判が立ち上がった。
 「俺がこうして歩いていたらこの人がいきなり飛び込んできたんですよ。」 「は?」
「私は飛び込んでません。」 「いえ、ドアが開いてすぐに俺に飛び込んできた。」
「飛び込んでません。」 「そしてこの人はおれにお胸を触らせたんですよ。」
「都合のいいことを言いやがるなあ。 じゃあここで再現してみろよ。」 「はーい。」
 小判が本気で再現し始めたものだから川牟田さんは焦りまくっている。 「どう見たってお前の負けだな。 小判。」
「そんな殺生な、、、、。」 「お前は強制わいせつ罪で逮捕させてもらうよ。」
「えーーーーーー?」 「それが嫌ならここで土下座して謝れ。」
 俺がそう言うと小判は川牟田さんの足元に土下座した。 「申し訳ありません。 今後一切このようなことはいたしません!」
でもなんか小判の顔がニヤニヤしている。 (変だな。)と思っていたら、、、。
 何すんのよ! 変態!」 川牟田さんがでっかい声で叫んだ。 小判を見てみたら頭を上げた時にスカートの中に潜り込んでいたから大変。
「しゃあねえ。 手錠をかけるか。 なあ、小判。」 「しゅいましぇん。」
 まさか俺の初仕事が小判だったとはなあ。 ああ情けない。