はいはい、こちら中野通交番です。 ただいま就寝中。

 家から交番まで自転車で行ける距離で良かったわ。 姉ちゃんは台車を押しながら何とも楽しそう。
歩道をゆっくりゆっくり歩いてきますねえ。 早くしろっての。
 「そんなに慌てなくてもいいじゃん。 恥ずかしいことじゃないんだからさあ。」 「誰が姉貴を嫁さんにするってよ?」
「いいじゃん。 あたしも頑張るからさあ。」 「何を?」
「えっと、、、。」 「ほら見ろ。 普段からサボってるから言えないだろう?」
「いいんだもん。 頑張るんだもん。」 「じゃあショップで頑張ってくれ。 ここはいいから。」
「ひどーーーーい。 こんなに弟に尽くしてる姉に向かって、、、。」
 「え? 誰が尽くしてるって?」 「あたしだよ。 あたし。」
「へえ。 姉ちゃんがねえ? 体だけでしょう?」 「うん。 じゃじゃじゃじゃじゃなくて、、、。」
 「認めたなあ。 姉ちゃんの負けだよ。 はい、仕事に行ってきなさい。」 「分かった。」

 やっと姉ちゃんを放り出して俺は交番の中へ、、、。 台車から荷物を下ろしてフッと溜息、、、。
(それにしてもあいつは何を持ってきたんだ?) 箱の一つを覗いてみると、、、。
 「あんにゃろう、下着ばっか詰め込んでやがる。 お仕置きせねば、、、。) 見事にやられたなあ。

 それにしてもあれだなあ。 近頃はほんとに息苦しい社会になっちまったもんだ。
変な動きをすればそれだけでガバランスがハラスメントがって馬鹿みたいに騒がれる。 騒いでる連中もよく見たらハラスメント軍団じゃねえか。
 だからって黙ってれば今度は「誠実さが、、、」とか「社会性を、、、」なんて叩かれる。 厄介な大人たちが増えたもんだぜ。
そんだけ自分らで騒ぎを起こしておいて「この国はダメだ。」とかって抜かしやがる。 あんたは日本をどうしたいのかね?
 誰かが言っていた。 「日本はまだまだ明治維新以来の激動期なんだ。」ってね。
いいことも悪いことも全て経験して国ごと大人になってもらいたいなあ。 そのためにはどうしようかね?
 まず官僚と国会議員は全て処分。 行政の全てを都道府県に下すんだ。
そうすれば大胆に減税も出来るし小回りも利くようになる。 国が国がって言ってる間はお子様だよ。
 税金は全て地方で賄えばいい。 地方の合弁だっていいだろう。
そして防衛だけは国でやってもらう。 これはさすがに地方では出来ないことだから。
 改革の第一歩として文部科学省を廃止しようじゃないか。 学校に役所は要らないよ。
文科省なんてのが存在するから虐めが問題になった時に対応できないんだ。
そして今は少子化の時。 幼稚園から大学まで全てを見直す時に来ている。
 駅弁大学なんて揶揄われるくらいに大学も多過ぎる。 8割くらいは廃止していいだろう。
さらには大学入試を完全撤廃すること。 そして奨学金は給付型に完全移行すること。
 そして高校では3年に実業経験コースを設けること。 仕事に対する意識を学生時代から育てるんだ。
しっかりと働けるようになれば結婚意識だって変わってくる。 仕事が不安定では結婚する気になんてならないよ。

 それから役人の特権意識を剥奪すること。 奇妙な特権意識なんて要らない。
役人の役目は何? 一般庶民を勇気付けることだよ。
国も庶民も天皇の宝物なんだ。 増税して虐め抜いていいわけが無いだろう。
 その意識で江戸時代まではやってきたんだ。 奇妙な西欧の真似なんかする必要は無い。
そもそもフランス革命が起きるまで一般庶民は王様の奴隷同然だった西欧の何を模範にすればいいのさ?
 フランス革命だって日本の庶民文化に刺激されて起きたんだよ。 西欧は日本よりも遅れてたの。
あちらさんとはまあ経済的に仲良くするくらいでちょうどいいと思うよ。 深入りすると厄介なことになるから。
 なあ、オランダさん。

 姉ちゃんの荷物を二階に運び入れてから無線の前に座りましょうか。 ああ疲れた。
「中野通交番 そっちの様子はどうだ?」 「只今快晴。 事件無し。」
「そうかそうか。 相変わらず何も無いんだな?」 「そうです。 どうぞ。」
聞くだけ聞いて無線は切れた。 いいご身分だぜ まったく。
 ボワーっとしたいもんだねえ。 ねえ寛平ちゃん。
ナーメナメクジクジ ナメクジクジ。 おいらもやってみようかなあ?
 「おい、あれは何だ?」 「どっかの暇なお巡りさんでしょう? いいじゃない。 ほっとこうよ。」
カラスがそう言って通り過ぎていきました。 チャンチャン。

 さてさて母さんたちは何処で何をしているんでしょう? 今頃は関空に着いた頃かなあ?
ああやってこうして忙しくしてるのもいいけどさあ、落ち着かないのもなんか嫌だよね。
 あくせくして働いて何が楽しいんだろう? 一方では自分から薬に溺れて人生を無駄にするやつが後を絶たない。
低空飛行で安定してしまった人たちも居るし金銭感覚がまるで無くなってしまった人たちも居る。 どっちが幸せなんだろう?
 だらしない大人も増えちまったしだらしない子供も増えちまった。 日本はどうなるんだい?
官僚制議会政治が始まって200年ちょっと。 その間に社会はボロボロになっちまったよね。
 地域ユニットも崩れ去った。 大家族も崩れ去った。
そして気付いたら少子化の荒波が、、、。 各家族じゃ子供なんて育たないよ。
何が悲しくて各家族になったのさ? 若夫婦の見栄と傲慢がそうさせたんだろう?
 家族から年寄りたちを叩き出してしまった。 そしたら協力してくれる人たちが居なくなった。
だから子育てなんて考えなくなったんだよね。 バカバカしい話だよ。
 議員たちはこれまた馬鹿だから金さえ有れば子供が増えると思っている。 そうじゃないっての。
相談に乗って子育てを協力してくれる人たちを投げ捨ててきたからこうなったんだって。
しかも30代40代の大人たちはそのことに気付いてない。 そして社会や政治に文句ばかり言っている。 自業自得なのに気付かないなんて憐れすぎるよ。
 そして20代の女たちは育てられないのに妊娠して大騒ぎを惹き起こす。 迷惑なのは生まれて殺された子供たちだよ。
何で殺されたのか? 何で死ななきゃいけなかったのか?
 やっと生まれられるって喜んで飛び込んだら殺されちゃったって虚しいよね。 命ってそんなに軽い物じゃないはずなのに。
静かな交番であれやこれやと思い返してみる。 濁悪世とはいうけれど、あまりにも荒んでいるね。
 弁当を掻き込んで一休みしたら巡回に出ようかな。 ショップの辺りも見ておきたいし。
今日は姉ちゃんも真面目に働いてるみたいだしね。 「あれ? 何処に行くの?」
 「うわ、姉ちゃんだ。」 「うわって何よ? うわって。」
「いつの間に来たんだ?」 「失礼ね。 幽霊みたいに言わないでよ。」
「幽霊より質が悪いわ。」 「何だって? もう一度言ってみなさいよ。」
「だから幽霊より質が悪いって言ったの。」 「どうせそうでしょうよ。 あたしはあんたのお姉さんだから。」
 「それとこれとは関係無いと思うけど。」 「いいのいいの。 で、何処に行くの?」
「巡回だよ。 劇場にでも行くか?」 「やだやだ。 あそこはやだ。」
「だろう? だったらおとなしくしてな。」 「分かったわよ。」
 姉ちゃんをおとなしくさせておいて俺は巡回に出掛けますですよ。 遊んでたんじゃ文句は言われても褒められないから。
ただでさえ役に立たない警察だってうるさいんだからね。 裏金ばっかしこしこ拵えていい顔してる連中なんだからさあ。
それにボーナス稼ぎに取り締まりをやってる連中なんだからしょうがないけど少しくらいいい所を見せないと、、、。
 権力に凝り固まったんじゃ人間じゃないよなあ。 庶民感覚も無くしたんじゃロボットだぜ。
幹部の皆様はがっつり設けて賄いまで戴いていい気になってるんだろうけど下っ端の俺たちはお前らのおかげでいい迷惑を被ってるんだからな!
 あれこれ考えながら散策してますと珍しい落し物が、、、。 「何だこれ?」
拾い上げてみると写真集のようですが、、、。 「拾得物発見。」
 しかしまあ写真集なんて誰が? 劇場の前を歩きながらあっちこっち見回しております。
落とした人はこの辺には居ないようですねえ。 誰なんでしょうか?
 いつもの駐車場にまで来たので写真集を覗いてみましょうか。 えーーーーー?
表紙を捲ったら思わず真っ赤になっちゃいますよ。 だってヌード写真なんだもーーーーーん。
 姉ちゃんよりスタイルいいやないかい。 こんちきしょう!