「勝者、ジープロディ・エンペント!」

「さすがはジープロディ様!」

「負け無しだな」

「皇帝様の息子だしな」

「だとしても…勇者の息子が入学以来一度も勝てないなんて…な?」

「だよな、なんか期待ハズレって言うか」

「まぁ、親がすごくても子がすごいって訳でもないしな」

うるさい…
俺に勝てない奴らがまたほざいてる

「残念だったな、ルイ」

そう言って手を差し伸べるのは先程まで戦っていたジープロディ・エンペント
この国の第三皇子だ

「ありがとうございます、ジープロディ殿下」

「やめてくれ、お前から殿下とは呼ばれたくない」

アカデミーに入る前まで普通に仲良しだった
ただアカデミーに入るとそれは変わる
神童と呼ばれるジープロディと秀才どまりで期待はずれの俺

「…ジープロディ様わがまま言わないでください」

もちろん立場もハッキリしてくるわけで今まで通りとは行かなくなる

「……」

ジープロディが不満なのか眉をぐっと寄らせ、睨むようにこちらを見てくるがもちろん外すなんてことはしない

「様付けと敬語は辞めませんからね」

「…まぁいい」

「ル、ルイーファシ様!お見事でした!
また腕をあげていますね!」

後ろから声をかけてきたのはジープロディの双子の妹、カーナバンヒ

「…あ、ありがとうございます。…ですが姫様俺に様付けはしなくていいですよ」

「で、でも…」

「よォ、ルイ今日は結構いい線いってたな」

「だねー、調子いいんじゃなーい?」

声をかけてきたのはジープロディや、カーナバンヒと同じく幼い頃から一緒だった勇者パーティ剣豪の息子、ストリーキャドルと魔法師の息子アリーオハリだった。
こいつらもまた俺とは違い神童と呼ばれる程の実力があった。

「リール、アリー…
そうかもな今日は調子がいい方かもな」

「なら俺と一戦やろーぜ!」

「僕とも!」

「……あ〜…」

これ以上やったとしてもどうせ俺に勝てない奴らがほざいてバカにしてくるだけだろうから断ろうと言葉を発しようとした時予想外の人物が現れた

「リール、アリー悪ぃな」

「今日は私たちとの先約があるのよ」

「兄貴!?姉貴!?」

王国軍隊に所属している兄、ブライザーと同じく王国軍隊の俺の姉、ホープイがいた

「「ブライザーさん、ホープイさん!?」」

「まぁお2人がアカデミーに…どうされたのです?」

「ちょっとした用事があったのよ」

「今日はもう授業は終わりか?」

「ああ、先程の勝負を最後にもう終わっている」

「よし、ならルイは回収してくな
では、ジープロディ殿下、カーナバンヒ様失礼します。
リールとアリーもまたな」

「えっ!?ちょ、兄貴離せ!!姉貴も助けろよ!!おい!!」

こうして俺は何故か兄貴と姉貴により連れ去られることとなりアカデミーの中を俵担ぎされた状態で移動する羽目になった