《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?

 美術品の持ち出しを差し止め、慌てて屋敷に踏み込めば、慣れ親しんだはずの家がどこか他人行儀で落ち着かない。
 猛然と見渡せば、玄関ホールの壁紙と絨毯の異変に気が付いた。

 茶系の壁紙が重厚な雰囲気を醸しだし、年代を重ねた調度品との調和が上品にまとまっていたというのに。あっさりとした若草色の壁紙とモスグリーンの絨毯にすり替わっている。

「なんということ……!」
 
 ロザンヌはショックのあまり口元を両手で覆った。
 言葉を失くした夫妻が立ち尽くしていると、大きな布袋を胸に抱えたメイドがホール奥の階段をゆっくりと降りてきた。
 夫妻に気付けば「ヒッ!」と小さく声をあげ、抱えていた袋を取り落としそうになる。

「旦那様……奥様っ……お、お帰りなさいませ」

 手に持ったものを床に置いて丁寧にお辞儀をして見せるけれど、いつものような無機質さはなく、ひどく落ち着かない様子で肩を震わせた。

「屋敷のこの有様は何なのですか! それに侯爵が戻ったというのに出迎えもせず、家令は……他の者たちはどこで何をしているのです?!」