《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?

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 侯爵家の女主人、ロザンヌ・ローレン・ジークベルトは上機嫌だった。
 
 自邸に向かう馬車は軽快に進み、馬の蹄の音が耳に心地よい。
 落ちかけた夕陽は鮮やかな光の筋を木々に投げかけ、目に映るもの全てをオレンジ色に輝かせていた。

 向かい側には老齢に近い夫が気持ち良さげに船を漕いでいる。
 昨夜は二人で無理をしてダンスなど踊ったものだから、まだ疲れが残っているのかも知れない。
 
 ——ロナウドと踊ったのなんて、いつぶりかしら。

 昨夜は実に素晴らしい夜だった。
 古友の屋敷に招かれ、洗練された美食の席を和やかに囲んだあと、促されるままに夫婦のダンスを披露して見せたのだ。

 若かりし頃は、晩餐の席でワイングラスを片手に夫とチークダンスを愉しんだものだった。
 夫婦の息はぴったりで、曲の終わりには必ず甘い口づけを交わす。そんな決まりごとのような幸せも、今はもう遠い昔のこと。

 ——わたくしたち、まだ踊る感覚を忘れていなかったようね。