雪のように白く美しい鳩は異空間へと消え、アレクシスの愛する人の元へと帰っていった。

 ——俺の想いが届くと良いが。

「アレクシス」

 背後に人の気配を感じるが、振り向きはしない。

「またお手紙?」

 首筋に回された白い手首から、甘ったるい香水の匂いがたちのぼる。
 隠そうともせず形の良い眉を顰めた。この匂いにはいつまでも慣れることがない。

「あなたが書卓にいるあいだはとっても寂しいわ。あなたの心が、手紙の送り手に向いてしまうんですもの」

 ねぇ……と両腕に力を込めるのは、豊かなプラチナブロンドを緩やかに結えた美しい女性。
 豊満な胸を強調するような薄い夜着に身を包み、猫のように甘えた声色が耳元で()く。