(ぐふっ)
立ち上がろうとしたうさぎを身体中に走る痛みがずくりと襲う。
後輩妖精にあっさり打ち負かされてしまった情けない無数の傷跡。どんなに失敗を重ねて傷だらけになっても、何度倒れても、ひとりきりで懸命に《鍛錬》を重ねているせいだ。
———頑張るよ、クリスタ。ボク、頑張るから。そして今度は必ず……クリスタの大切な、エリーを守って見せるから……っ。
(ねぇ、エリー)
痛みで声を漏らしそうになるのを必死で堪え、平静を装うと、水の入ったグラスを手にして戻ったエリアーナをすっくと見上げる。
(ボクはこれからも時々いなくなるけど、心配しないで。ただの『バカンス』だから……『ビーチ』で、たっ、楽しく過ごしてるだけだからっ。それにエリーが危なくなったら助けに来るから……きっと、きっと……!)
「ルルったら、急に怖い顔しちゃって。『バカンス』ならもっと楽しそうにすればいいじゃない? そうよね、今までだってルルが私を助けてくれたことは一度も無いんだし? どうぞお好きに『バカンス』とやらを楽しんでね」
呆れ顔を崩さぬままグラスの水をぐいと飲み干す。
そんなエリアーナを、うさぎはどこか哀しげな眼で見上げていたのだった。

