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 ダイニングルームで一人きりで摂る夕食のあとは、眠るまで自室にこもりきりになる。
 日中も自由な外出は許されておらず、いわば広い屋敷の敷地内に軟禁状態。
 唯一、塀の外に出られるのが魔術学園という《魔窟》に通うためだけ。

 ——何だかとっても疲れました……。

 湯浴みを済ませるとようやくホッとして。
 身体中に温かな血液が巡るのを感じながら、窓際の書卓へと足を運ぶ。

 朝から不機嫌な夫の顔を拝まねばならなかった不運の連鎖か、学園の朝礼の時間に遅れたエリアーナは悪臭に耐えながら最悪な一日を過ごしたのだった。

 ——よりによってトロールだなんて。ブロブリンの方がずっとマシだったわね。