乱暴な手のひらがすべらかな腹を撫であげる。
辛いのに。苦しくて心が張り裂けそうなのに。不本意で悲しくて仕方がないのに。
執拗に何度も深く口付けをされたせいで、エリアーナの腹の底から感じたことのない疼きがじわじわとこみ上げてくる。
アレクシスの指先がふれたところから、心と身体が哀しく蕩かされていく——。
「……ぁ……」
耳朶にかかる熱い吐息にびくついて、聞き取れぬほど小さく掠《かす》れた声が漏れた。同時に熱をはらんだ目頭から涙が堰を切ったように溢れだす。
愛のない、ただ犯されているだけの行為に身体の奥が熱く疼いてしまう。そんな自分が途方もなく悲しかった。
エリアーナの涙に気付いたアレクシスが顔を上げ、覆い被さっていた身体をゆっくりと離し、薄青い目を細める。
「こんなに罵っても、乱暴に抱いても気付かぬのか……」
荒がった呼吸が乱れた夜着から覗く白い胸の丘陵を大きく上下させている。開いた唇で息を吐きながら、エリアーナは呆けたようにうっすらと目を開けた。
「……エリー」
濡れそぼった頬を、アレクシスの手のひらが優しく包み込む。
先ほどまでの乱暴さが嘘のように、エリアーナの額にゆっくりと自分の額を寄せた。
「良く聞いて欲しい……。俺は君を《《愛していない》》。愛していないんだ」

