「生徒会長に頼まれた本を探してる。二十三冊」
「へ……?」
「残り三冊が見当たらない。でも、代わりにおまえがいた」
それは一瞬の出来事。
あっと声をあげる間も無く、気付いた時には後頭部にぎゅっと小さく結えていたはずの長い髪がはらはらと宙を舞っていた——レオンの腕が伸びて、髪留めが奪われたのだった。
「何をするの?! 返して……! それに眼鏡もっ」
「どっちも返さない、と言ったら?」
「どうしてこんなことをするの、ひどいわ……」
レオンが握る花の形を模した髪留めに精一杯手を伸ばすが、届きそうなところでひょい、と逃げられてしまう。目を細めたレオンは秀麗な面輪に悪戯な笑みを浮かべた。
「どうしてって、このほうが似合うから」
「勝手な事ばかり……。あなたに私の事情なんてわからない……!」
「ああ、わざと《《そういう格好》》をして自分を偽ってるご令嬢の事情なんか知らない。だが、ひとつの事実は伝えておく」
涙目になって震えるエリアーナの頬を長い指先がかすめた。
銀糸の髪をひとすじ掬い上げると、見せつけるように自分の鼻先に持っていく。
——ひとつの、事実……?
レオンの行為に抵抗するすべもなく、エリアーナの丸い両目が大きく見開かれる。
夕陽を映し取ったレオンの瞳がきらりと揺れた。
「一目で惚れた……それが俺の事実」
「へ……?」
「残り三冊が見当たらない。でも、代わりにおまえがいた」
それは一瞬の出来事。
あっと声をあげる間も無く、気付いた時には後頭部にぎゅっと小さく結えていたはずの長い髪がはらはらと宙を舞っていた——レオンの腕が伸びて、髪留めが奪われたのだった。
「何をするの?! 返して……! それに眼鏡もっ」
「どっちも返さない、と言ったら?」
「どうしてこんなことをするの、ひどいわ……」
レオンが握る花の形を模した髪留めに精一杯手を伸ばすが、届きそうなところでひょい、と逃げられてしまう。目を細めたレオンは秀麗な面輪に悪戯な笑みを浮かべた。
「どうしてって、このほうが似合うから」
「勝手な事ばかり……。あなたに私の事情なんてわからない……!」
「ああ、わざと《《そういう格好》》をして自分を偽ってるご令嬢の事情なんか知らない。だが、ひとつの事実は伝えておく」
涙目になって震えるエリアーナの頬を長い指先がかすめた。
銀糸の髪をひとすじ掬い上げると、見せつけるように自分の鼻先に持っていく。
——ひとつの、事実……?
レオンの行為に抵抗するすべもなく、エリアーナの丸い両目が大きく見開かれる。
夕陽を映し取ったレオンの瞳がきらりと揺れた。
「一目で惚れた……それが俺の事実」

