「まぁいいや。右京達入ってきたみたいだし」

乱れた髪を結び直そうとしたけど、花梨のリボンだったから、くしで整えるだけにしておいた。

左京くんが扉の前で振り返って待っていてくれている。

左京くんは一見、無関心に見えるけど、きっとそうじゃない。

関わりを持とうとしないだけで、ちゃんと人のことを見ている。

「ごめん、お待たせ」

「ん、」

左京くんは少しだけ口の端を持ち上げた。

再び左京くんに連れられてやって来たのは、リビングと思われる場所。

既にソファーに花梨と右京くんが座っていた。

寄り添い合っているので上手くいったようだ。

「ごめん、心配かけて」

「ううん、大丈夫。仲直りできて良かった」

右京くんも申し訳なさそうな顔をしている。

「あれ?胡桃、髪ほどいたんだ。…えっ、その首って……なんでもない」

「ん?首?」

ペタペタと首を触ってみるものの、特におかしなところは見つからない。

「左京と胡桃ちゃんってけっこう仲良くなった感じ?」

右京くんがニヤッと笑っている。

「仲良く、なった?」

仲良く、の定義がわからなくて左京くんのほうを見る。

私的には、かなり仲良くなったと思う。

「少なくとも、お友達になるつもりはないから」

「っ、」

左京くんにこんなことを言われるとは思っていなかった。

距離が縮まった気になっていたのは私だけで、本当は左京くんに嫌われていたのかもしれない。

浮かれていた自分がバカみたいだ。

「…お友達では、ないみたい」

無理やり貼り付けた笑みで右京くんに返事をした。

「そっか」

右京くんがため息をついた。

まさか、右京くんにも嫌われてしまったのだろうか。