「胡桃ー、治った~?」

保健室に入ってきたのは花梨と右京くんだった。

開けないで、という私の心の叫びをものともせずシャッとカーテンが開けられる。

「…あー、お邪魔だった?」

「ううん、ぜんぜ…」

「うん、じゃま」

左京くんに遮られてしまった。

「…もしかして左京、寝てた?」

右京くんが私と左京くんを少し驚いた顔で見比べている。

「うん、さっきまで寝てた、よ?私も寝てたけど」

右京くんは納得したような、でも腑に落ちないような顔をしている。

「左京ってさ、寝起きだとこうなるんだよね。でも左京が人前で寝るのは初めて見た」

左京くんはやっと目が覚めたようで、私との距離をあけた。

なんだか寂しい。

左京くんがジロッと右京くんを睨んでからこちらに視線を向けた。

「……悪かった」

「う、ううん、びっくりしたけど嫌じゃなかったし。気にしないで」

左京くんが一気にしおらしくなった。

「嫌じゃないって、逆に気にするんだけど」

左京くんがぼそっとなにか呟いた。

「え?なんて言った?」

「いや、なんでもない」

左京くんの顔が少しだけ赤い気がした。