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「小熊羽瑠です。よろしくお願いします」

心臓バックバクの中。

新しい制服に身を包み、新しいクラスの黒板前で挨拶をすると、みんなパチパチ、と暖かい拍手で迎えてくれた。

制服は紺色のブレザーに、青いチェック柄のリボン。ちなみに男の子はネクタイみたい。

そして胸元には宝来学園のエンブレムが取り付けられたとてもオシャレな仕様となっている。

今朝は桃子ちゃんに、結星くんのことを聞いたりしてバタバタしてたけど、肩上までの髪も、ちゃんとアイロンで抜け目なく巻いた。

やっぱり初めの印象は大事だし!

女の子だもん。寝癖なんて言語道断…っ。

あっ…桃子ちゃん、発見。

真ん中辺りの席で私に手を振ってくれていた。

それにしても桃子ちゃんと同じクラスで良かったぁ。

心の底から安堵して、胸を撫で下ろす。

結星くんとはクラス違ったみたいだけど、桃子ちゃんがいてくれるのは心強い!

「じゃあ、小熊さんは1番後ろの窓際の席ね〜」

「はい!」

先生に促されるまま、席に着くと、隣に座る男の人に肩をトントンと叩かれた。

「僕、くらげっ!水野海月(みずの くらげ)

「あっ、海月……くん。よろしくお願いします…っ」

珍しい名前…。

ぺこり、と頭を下げて、ぎこちない笑顔を向ける。