麗日が仕事に行ってから、ベッドから動く気にもなれず、ぼーっとしていた。
すると朝6時頃、インターホンが鳴り、モニターを覗くと弾さんが映っていた。
いつも麗日のそばにいるイメージだったけれど、いまは弾さんは彼と一緒ではないらしい。
髪やら服やらを整えてから玄関のドアを開けると、弾さんは「出かけるよ」と突然言い出すのだから目を見開いてしまう。
「え……いま、から、ですか」
「そう、いまから。出かけるって言っても、麗日の仕事が終わるまでドライブって感じ?」
「……?」
「まあとにかく麗日にそう指示されてんの。『ひとりで泣いてるかもしんないから連れ出してやって』って」
相変わらず過保護だなあ……。
でもたしかに、麗日がいない家にずっといるのももの寂しい。
それなら彼が帰ってくるまで、少し出かけるのも悪くないかもしれないと思った。
ただ……弾さんとふたりきり、というのが身を強ばらせる。
どこか自分と似ている人間というのは、本能的にわかってしまうから。
わたしの何もかもを見抜いているかのような目をしている弾さんは……正直かなり苦手だ。



