Hush night



従順にも頷くと、麗日は「ありがと」と髪を整えてくれた。



「そーいえば、うるってスマホ持ってんの?」

「……もってる、けど、いま充電なくて」



拾ってもらった日から、数日経っているのを思い出して言う。



「あー、それならこのコンセント使いな」


彼が指を差したのは、ベッドの横にあるコンセント。

ケーブルなど必要なものも揃えてくれて、本当に気がきく人だと改めて感じた。



「じゃ、行ってくる」



ちゅ、と触れるだけのキスをして、麗日は玄関へと向かう。

寂しさが大きくなる前に、幅のある背中にそっと声を掛けた。



「……いってらっしゃい、」




その言葉に微笑んだ彼は、眩しいくらいに麗しかった。