「……る、」


「…………」



「……る、うる」




少しハスキーな声に呼ばれ、はっと目を覚ます。

微睡の中、必死に状況を模索していると、目の前に現れたのは恐ろしいほど美麗な男。



「……れい、ひ」



小さく呟けば、麗日はこくりと頷いた。

わたしの掛け布団を捲り、彼は口を開く。



「俺、いまから仕事」

「いま、から……」


もう朝……?

辺りが暗い気がして、目を凝らして時計を見ると。

なんとまだ深夜と言うべきか……早朝3時。




こんな時間から仕事だなんて、さすが【レイ】だとしか言いようがない。


「そ。うる、起きたときに俺がいなかったら寂しくて泣くだろ」


……別に、泣かない、はず。

ちょっと悔しくてそっぽを向くと、麗日は軽快に笑う。


まだ眠気が飛んでいないために目を擦っていると、彼はわたしに再度掛け布団を被せてくれた。


「起こしてごめんな。じゃ、行ってくる」