そこからは、何を話しているのか全くと言っていいほど掴めなかった。
獅童組の裏の図面を広げられても、わたしには理解し難かったのだ。
暫く行く末を見守っていると、ひと段落ついたのか、麗日が皆を見回した。
「次の集会は来月。第2週の土曜日だ。ほか、連絡のある者は?」
すっと挙手したスーツ姿の若い男性は、麗日の目を見据えて口を開いた。
「レイ様、依然としてあの方……スイ様にはお気をつけください」
「……彼が何か動き出したのか?」
「いいえ。ただ、最近スイ様の機嫌がすこぶる良いらしく……嫌な予感がした次第です」
「そうか。わかった」
麗日はあっさりと頷くと、話を切るように再度周りを見渡した。
「今日は解散。次の集会までにまた報告資料を頼む」
「承知致しました」
50人ほどの男の人たちが立ち上がり、麗日に向かってざっと頭を下げる。
それにいっさい動じない彼は、部下たちに軽く手を挙げてから、すぐにわたしのほうを見た。
「うる、帰ろ」



